やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

高野和明『13階段』を読んで

こんばんは、やっちゃえ先生です。

今日は読んだ小説の話。

 

『ジェノサイド』で有名になった(?)高野和明さん、

読むならデビュー作から読もうと思い、読み始めたこの『13階段』。

ご都合主義的な設定じゃない?と思うところがありつつも、

最後には8回2失点でまとめちゃう(失礼)ような、クレバーな書き手(上から目線)。

 

でもそのクレバーさだけではたぶん江戸川乱歩賞を受賞していないでしょう。

ここで扱われる「死刑制度」というテーマに対して、

高野さんが真摯だったからだと思う。小説にして、平易で、でも真摯。

 

内容については詳細は割愛しますが、

罪を犯して服役していた主人公と、刑務官として死刑執行に携わっていた元刑務官が主人公となり、無実の罪を着せられ、死刑判決を受けた男を救おうとする物語。

 

この小説の光る所は、

解説の宮部みゆきさんが言うように(この人の解説はいつも本当にいい)

「社会に対して何らかの負債を持つ人間が、それを背負いつつも社会の(または他人の)ために生きることはできるか」という問いかけが根底にあることだと思う。

だから、ただのエンタテイメントになりさがらないというか、

多少ご都合主義にみえる設定があっても、最後は、うん、いっか。と飲み込んでしまう。

高野さん自身が、この問いに対して、とても真摯な印象。

 

考えさせられるミステリー小説。

ちなみに、私が死刑制度関連で心に残っている書籍を簡単に。


森達也『死刑』

藤井誠二『殺された側の論理』

酒井肇『犯罪被害者支援とは何か―附属池田小事件の遺族と支援者による共同発信』

郷田マモラモリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語』(全7巻くらいのマンガ)

 

日本の死刑制度論議で思うのは、圧倒的に「被害者(と遺族)支援」が弱いということだと思います。

アメリカの制度とかつて比較したことがありますが、全然ちがった。

データがなくて申しわけないです・・・

 

1週間もあと少し!がんばりましょう!

では、また!