生徒の問いはまっすぐである。だから面白い。
高校1年生にとって文理選択が迫ってくる時期になりました。
◯文理選択という機会の意味
へ?文理選択?と思うかもしれませんが、これが彼らにとって結構大事。
中学生までは、部活、習い事、勉強、などなどやりたいことをまっすぐにやってきた生徒が多く、彼らにとっては、何かを「捨てる」貴重な経験だと思っています。
私見ですが、文理選択は、「人生は選択である」ということを、身をもって体感し、その選択に責任をもって生きていくことを知る1つの大事な機会だと考えます。
なので、彼らがよく考えて発する(考えていないように見えたとしても)まっすぐな問いは、1人の人間としてしっかり受け止めたいと思っています。
で、しっかり受け止めようと思っていたら、文理選択に悩む生徒が言ってきました。タイトルの問い。笑
◯なんで世界史なんてやるの?
学校によって異なりますが、高校2年で文系に進む生徒は主に世界史Bか日本史Bのどちらかを選択するのが一般的な科目選択でしょう。
タイトルの問いを発してきた生徒も、そのような選択の最中にありました。
もちろん私は生徒と一緒に何でだと思う?と問いかけながら、自分なりの見解を示していきます。ただ、話をし終わった後に、「せっかくだから学習指導要領でもみてみるか・・・」と思って見直してみたのです(そんなことをする時間はないくらい今日は忙しかったのだが)。
すると…
「世界史B」は,詳細で専門的な世界の歴史を学ばせようとするものではない。
なんてきちんとかましてくれているんですね。笑(失礼)
ちなみにその文章の続きも載せておきます。
世界の歴史への興味・関心を引き出し,それをもとに世界の歴史の基本的な事項を理解させるとともに,それぞれの大項目の内容に示された事項を参考にして主題を設定し,生徒の主体的な学習を通して歴史的思考力を培うことを目指した科目
と書いてあります。素晴らしいですね。(一文が長いですね。しかも「歴史的思考力」って地歴科の指導要領中に30回以上出てくる言葉なのにその定義については一切言及がないんですね)
気を取り直して、世界史Bの「目標」の箇所を読み込んでいくと…
他国や他地域の歴史を理解し,自国と世界とのかかわりを学び,日本の歴史や文化をより客観的に見る目を養う。そして,世界の形成の歴史的過程,文化の多様性・複合性や現代世界の特質などを学習することによって,歴史的思考力を培う。これらを通じ,国際社会に主体的に生き平和で民主的な国家・社会を形成する日本国民としての自覚と資質を養うことが,この科目の最も重要なねらいである。(太字は筆者)
この文章で、うんうん、とうなづけるようになってきたでしょうか…
自分で太字にしたところなんかは、私の考えるキーワードと思っています。
◯大切なことは教科書がすべて教えてくれた
指導要領のキーワードを踏まえて、山川出版社『世界史B』の教科書の冒頭を読み直してみました(あの青っぽいやつ)。すると…より分かりやすく書いてある!!
世界史の学習を通じて、私たちの生きている現代という時代が、前の時代とちがうどのような特色をもっているのか、私たちが当然だと思っている事柄や考えが、歴史的にみれば決してそうではなかったことなどが、理解できるようになるのです。(太字は筆者)
そうそう、それを学ぶのが世界史の意義なんだよ、と一人うなづく私。
自分たちの「当たり前」を見直すことが、異質な他者への寛容な態度を育てることにつながる。そしてその態度こそが身近な所から平和をつくるために必要なことだと思うのです。
そして最後に、「山川さん、いい文章ですね!!」(月並み)と思ったのが末尾のこの文章。
みなさんが、それぞれの時代によろこび、楽しみ、怒り、悲しみながら懸命に生きた人々の姿を思い浮かべながら、みなさん自身が生きているこの地球世界のたどってきた道を振り返り、未来の課題を考える手がかりをつかんでほしい(太字は筆者)
先日の真田昌幸の名言打線の4番と似ているような気がします。
4(捕)心得は一つ。軍勢を一つの塊と思うな。一人一人が生きておる。一人一人が思いを持っておる。それを、ゆめゆめ忘れるな。
思ったより、自分の考えが教科書や学習指導要領と相違ないことに気づかされましたね笑(違っていたらまずいのだが) 少しは、世界史を学ぶ意義、伝わったでしょうか?
生徒へのテクニカルな返答を準備するよりも、こうやって立ち止まってみるのがやっぱり面白いですね。明日学校にある他の出版社の世界史・日本史の教科書の冒頭、読み直してみようかなと思う今日でした。